走り回る子供をノーファインダーで撮る AI AF Nikkor 20mm f/2.8D

20mmという広角単焦点を手に入れ、子供撮影に四苦八苦しているお話です。



走り回る子供をノーファインダーで撮る AI AF Nikkor 20mm f/2.8D

広角の楽しさに気付く

子供と公園などに遊びに行くときは、ほぼ35mmか50mmで出かけていた。
小型軽量なので機動性も高いし、リュックにカメラごと放り込める。
しかし、先日仮面ライダービルドショーを観に行った時、子供とビルドの記念撮影を撮る予定だったのだが、被写体とどのくらい距離が取れるか不明だったため、柔軟な対応が可能な24-70mmを持ち出した。
その時に子供を広角で撮るのも楽しいと気付き、毎日広角レンズを調べる毎日。

広角レンズ調査

最低でも18mmは欲しい、でも単焦点に20mm以下のラインナップは無い(サムヤンとかのMFレンズならいちおうあるけど)。
広角単焦点は使用頻度が低そうなので、広角ズームにしたい。でも重いと子供撮りには不向き。

毎日モヤモヤしながら価格.comで広角ズームを調べまくった結果、以下のレンズが候補に

AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED
強烈に評判の良いこのレンズ。
でもワイ端が18mmってのがちょっと。やっぱ16mmは欲しいなあ。
AT-X 17-35 F4 PRO FX 17-35mm F4
ワイ端が17mmでF4通しなのに激安で評判も高い。
でも開放がイマイチとかのレビューが、あとF4通しで重い・・・
AF-P DX NIKKOR 10-20mm f/4.5-5.6G VR
APS-Cのレンズだけど小型軽量で安価で写りも良いと大評判のレンズ。
でもAF-Pだから手持ちのD7000じゃ使えないのだ・・・

いくら悩んだところで、お金はまったくありません。
そんな中、いつものようにメルカリを眺めていると、 AI AF Nikkor 20mm f/2.8Dが2万円ほどで売られているじゃあーりませんか!
しかも5万番台のシリアル。

後先考えずに思わずポチ。

AI AF Nikkor 20mm f/2.8D

レンズスペック

発売:1994年
価格:89,800円
絞り羽根枚数:7枚
最短撮影距離:0.25m
質量:270g
最大径×長さ:69×42.5 mm
フィルタ径:62mm


レンズの概要

24年前に発売されたレンズながら、まだ現役販売されている現行レンズ。
このレンズは2006年にコーティングが変更され、シャープネス、コントラスト、逆光耐性が上がっている。
シリアル番号が50000以上の物が2006年以降製造であり、今回メルカリで発見したレンズは5万番台だったため、16連射でポチってしまった。

レンズフード

Dタイプのレンズはなぜかフードが別売りのため、純正フードのHB-4を購入。
うれしい誤算だったのが、Dタイプのフードはすべてねじ込み式だと思っていたのに、HB-4はバヨネットだった。
ねじ込み式ってかさばるから嫌なのよね。
しかし、HB-4は超薄型のフードなので逆付けしても全長がほとんど変わらないので、フードはつけっぱにしてるため、バヨネットの利点がなくなった・・・

作例

とりあえず試写。

近所のお寺で適当に撮ってみた。
AI AF Nikkor 20mm f/2.8D
D610 / f11 / 1/250 / ISO100

広角とはいえ20mmなので、うぉー、広いーみたいな感動は無い。
しかしまあ、四隅の流れも無いし、シャープネスも許容範囲だし、これが2万円なら大満足。

子供撮影

さて、本題の子供撮影。
そもそも広角が欲しかったのは、近接撮影で背景を大きく入れてダイナミックな構図を作ったり、室内撮りで背景もしっかり入れたかったため。
用は被写体をアップで撮りながらも背景も入れたいといういいとこ取りのため。

とはいえ、素人がおおっという写真は大抵が浅い被写界深度で被写体を浮き上がらせたり、望遠で背景を圧縮させて被写体を浮き上がらせたりした写真。

こんなの
D7000 / AF-S 70-200mm f4 / f4 / 1/500 / 200mm / ISO400
D610 / AF-S 70-200mm f4 / f4 / 1/500 / 200mm / ISO800

こんな写真ばかりだと、日常感が出ないし、どこで撮ったのかすらわからない。

しかし、広角で被写界深度が深い写真はパッと見、コンデジやスマホの写真に近くなり、しっかり狙って撮らないとただの主題の無い写真になりがち。
広角を極めれば写真力がグッとあがるはず。

とりあえず撮ってみないと始まらないので、桜も散った4月上旬、子供を撮ってみた。

まず35mmや50mmの感覚で普通に撮影。

D610 / f5.6 / 1/400 / ISO450

完全なスマホ写真。
広角レンズは全てが小さく写るため、被写体にグッと寄らないと何が主題なのか全然わからない。

続いて、グッと寄って見上げてみる。

D610 / f5.6 / 1/400 / ISO250

このくらいでようやく広角の味が出てくる。
でも、もっとローポジションにしないと広角のダイナミック感は出ない。



ノーファインダーにチャレンジ

広角でやってみたかったのが、子供を追いかけさせて正面からノーファインダーで撮り続けるやつ。
というわけで、ある程度絞り込み、シャッタースピードを上げ、中央1点のAF-Cで子供の前を背走しながらシャッターを切り続けてみた。

D610 / f5.6 / 1/400 / ISO250

結果としては狙った通り躍動感があり楽しそうな写真が撮れたのだが、ピントが後ろの木に抜けている。(縮小画像だと分かりにくいけど)
ノーファインダーで中央1点だとAFが何処に向いているのがさっぱりわからないためこうなってしまった。
シャッタースピードも遅すぎたかな。

グループエリアAFの使えるD750とかD810なら歩留まりも上がるだろうなとか、ノーファインダーですばらしい写真を撮っている人達はすごく苦労してるのだろうなとか考えていたのだが、そもそもAFで撮ろうとしていたおれが悪いのではと言うことに気付いた。

ノーファインダーは置きピン?

そもそも広角にボケなど期待しちゃいかん。
それならピントは固定で被写体を被写界深度に収めてシャッターを切ればよいじゃないか。
いわゆる置きピン。
というか、そもそもノーファインダーというのはそういう撮り方なのか?

ノーファインダーの被写界深度を見極める

というわけで、前方被写界深度を手前側に取り、被写界深度合計を2m近く取るとすると、F8まで絞り、ピント位置を1mに合わせれば、カメラのセンサー面から0.64mから2.3mまでが被写界深度範囲となる。
こんな感じ

計算結果は以下のアプリより。


ということは、子供と64cm以上のディスタンスを保ちながらシャッターを切り続ければ、常にジャスピンで撮影が可能ということである。
この値は参考値であり、レンズの種類などによって異なるようなので注意

置きピンで撮影

この設定で何枚か撮っていたけど、シャッタースピードが1/500ではブレが出る。
被写体ブレじゃなくて手ブレっぽい。
こっちもカメラ片手に疾走しながらレリーズをするので、1/500じゃ抑えられないようだ。
D610 / f8 / 1/500 / ISO5000
1/800ならドンピシャ
D610 / f8 / 1/800 / ISO100

あと、前方被写界深度が64cmは離れすぎのようで、子供が近づくとボケる(ブレかもしれんけど)ので45cmくらいにしたいところ。
D610 / f8 / 1/400 / ISO360

というか、このくらい寄った写真のほうが躍動感がある。
前方被写界深度を45cmにすると、F11でピント位置が0.7mにすれば手前45cmから1.5mまでが被写界深度範囲になるけど、ちと絞りすぎかな?

それにしても広角はけっこう楽しい。
芝生に寝転がって子供と新緑を撮っていたら、兄弟がおれの腹の上に乗ってきた。
その状態で腰を振ると満面の笑顔、広角を活かしたなかなか良い写真が撮れた。
D610 / f5.6 / 1/160 / ISO220

まとめ

あまり持ち出す頻度が無いかなと思っていたこのレンズ、思った以上に楽しくて、活発な子供達を躍動的に撮るにはもってこい。
引いて撮る意味はほぼ無いので、被写界深度を手前30cmから1mくらいに固定してノーファインダーでいろいろなアングルやポジションで撮りまくるのが良い。

欠点を上げるとすると、逆光耐性。
逆光ではかなりコントラストが低下する。
適正な露出で撮れていれば味として成立するが、逆光でアンダーになった写真の場合、いくらRAWから起こしてもコントラストが低すぎてまったく助けられない。
逆光時の露出はかなりシビアに考えたほうが良さそう。
できればスピードライトを併用かな。

最新のAF-S NIKKOR 20mm f/1.8G ED を使えばもっと鮮鋭で逆光も気にならない写真が撮れると思うけど、さすがに8万円は厳しい。

まだまだ20mmを使いこなせていないので、これからも積極的に使ってテクを磨いてみます。


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