便潜血からの大腸内視鏡検査で死にかけたお話


30代になってから、健康診断で毎年のように便潜血ありで要精密検査。
初めて大腸内視鏡検査をして死にかけたお話です。

大腸内視鏡検査を決意するまで

便潜血陽性

毎年のように便潜血陽性で要精密検査の結果を受け取る。
検査というのは大腸内視鏡検査。いわゆるアヌスにキャメラをぶち込まれるということである。
しかし、ここはおれ特有の都合の悪いことほどプラス思考に考えるモードが発動し、いつも便秘がちだからちょっと切れただけとか良い方向に考え、独自解釈で検査を回避してきた。

突然の出血

数年前の秋の日、ある飲み会の帰り道、駅を降り改札から数歩進むと、強烈な便意を覚えた。
慌てて駅に引き返し、和式トイレに駆け込む。
するとポタポタポタっと変な感覚。

下を見ると
画像はイメージ
「なんじゃこりゃあ!!!」

鮮血が垂れまくっているのではあーりませんか。

さすがにこれには僕ちゃんも真っ青。
しかし、会社の人が数年前にほぼ同じ経験をして病院に飛び込んだところ、特に悪いところはなく、たまたまできた腫瘍が破けたのでしょうと言われた事を思い出し、お得意のプラス思考で乗り切るのだった。

意識の変化

しかし、結婚を機に気になる部分は調べてもらおうという意識の変化があり、近所のクリニックへ相談へ行った。

アヌスからカメラなどぶち込まずに済む方法があるのではと期待したが、一回カメラで見ないとわからないというツレない反応。
まあそれでもこっちは覚悟を決めて来たのだから、早くやっちゃって欲しいと思いきや、1ヶ月先まで空いていないという。

とりあえず、予約を取り、検査前日からの準備などを説明され、帰宅。
検査の際に全身麻酔をするかどうか聞かれたが、会社の人が思ったより楽だったと言っていたのと、仕事が忙しくて検査が終わったらすぐ仕事をしたかったので、麻酔無しですることに。
だいたい、麻酔すら恐ろしいわ。

せっかく心の準備ができていたのに、1ヶ月も先になるとやっぱりキャンセルしようかなどと迷いが出るが、激務に追われ、あれよあれよと当日になった。

大腸内視鏡検査当日

下剤の投入

朝から家で二時間かけて下剤を飲んでから病院へ行くというスケジュール。
ビジクリアというタブクリアのパクリじゃないかというネーミングの馬鹿でかい錠剤を1回5錠づつ200mlの水で15分間隔で計10回飲むという拷問のような所業。

錠剤は口に入れると鉄のような味がしてゲロまず。
時計とにらめっこしながら飲み続けること1時間、ようやくお通じが来る。
そこからはトイレと投薬の繰り返し。
7回目くらいからは、とうとう黄色い水のみが出るというスーパークリーンな肉体に。

最後は気合で水と錠剤を飲み、電車でクリニックへ移動。
車の場合、途中で水が出そうになったらどうにもならんし。

いざクリニック

クリニックへ到着すると、さっそく検査室へ通され、無造作においてあるケツの部分に穴の開いた不織布のパンツ、いわゆるOバックに着替えろと指示をされる。

なんて破廉恥なパンツなんだ。Tバックすら履いたことがないのに。
嗚呼、とうとう女の子の一番大切なものをあげる時が来たのか。

恥じらいながら着替えると、下剤のせいで便意を催す。
さすがにOバックで廊下に出てトイレに行くわけにもいかないので、再度着替えてからトイレへ。
当然水しか出ない。

そそくさとトイレを後にすると、廊下でナースに見つかり、

「出そうになったらベッドの上のシートに出して良いですよ」

などと言われる。どんなプレイだよ。

ベッドで仰向けになって待っていると、先生がやってきた。
簡単に説明を受け、いざプレイ。

処女喪失

まずアナルにゼリーのようなものを塗られる。
身体をビクンとさせたり、「あぁん」みたいな気の利いた声を出してあげるでもなく、目を閉じてじっと堪える。

「それでは挿れていきまーす」

という先生のムードもないセリフのあと、固いモノが入ってくる。

「んぁっ!先生の固くておっきい」

とか

「イエス!イエス!…ジーザス!アイム、カーミング!」

みたいな演技をする余裕もなく、歯を食いしばりながら、

「お母さん、私は大人の階段を登ります」

と涙をするしかない。

挿入してから数分も経たないうちに、先生が

「おっ、いきなり何かある」

と声を上げる。

ベッドからはモニタが見えるので、目をやると、確かに腫瘍なような物が見える。
先生は「ここは直腸だね」などとのんきな事を言いながら、「細胞のサンプルを採取するので、少しつまみます」と、マジックアームみたいなので採取している。

この時点で、おれは癌なのじゃないかとネガティブシンキング。

その後もキャメラはどんどん奥に入っていくのだが、感覚としては針金が身体の中を這い回っている感じで超気持ち悪い。
特に最悪なのが痛み。
腸の曲がり角でキャメラの向きを変えるため、キャメラの先っぽが腸壁にゴリゴリと当たり、激痛が走る。
肉を抉り取られている感覚。

最初はなんとか我慢ができていたが、キャメラの挿入の予定位置には達しているはずなのに、全然ゴールにたどり着かないらしい。

先生は

「あれ、まだ終わらない、長いな。それになかなか入らない」

と言いながら、入りづらくなってきているキャメラをゴリゴリと押し込んでくる。

迷走神経反射

さすがに身体が限界を迎えたのか、吐き気を催し、か細い声で

「先生。。。気分が悪くて吐きそうです」

とうったえる。

 続いて指先に痺れを感じたので

 「すみません、指先が痺れてきました」

 と、息も絶え絶え報告。

呼吸も困難になり、意識は朦朧。
顔面も真っ青になっていたらしく、応援で看護婦が3人ほど飛び込んできて、おれの身体をマッサージしたり、血圧を測ったりと戦場のように。
過呼吸に陥っていたらしく、ビニール袋を口に被せられ、ゆっくり吐いた息をゆっくり吸ってと指示がくる。
どうやら、迷走神経反射という状態らしい。
こんな事になるなら波紋の呼吸をツェペリさんに習っておけばよかった。

とうとう生まれて初めての点滴も打たれ、徐々に意識も呼吸も回復。
焦った先生は

「ほぼ最後まで入ったので、これで終わりにしましょう」

と、カメラを抜いていくが、この時の記憶はまったくない。

そんなこんなで、検査が終了し、Oバックを履いたまま、ベッドで横になって点滴をしばらくされ、回復後に診察室へ。

所見

先生の所見としては、直腸の腫瘍については色もきれいだし特に問題はなさそうとのこと。
お土産にもらった腫瘍ちゃんの写真

念のため専門機関で調査はしてもらえる事に。
後は、腸の奥のほうが爛れていたようにも見えたが、あんな状態だったので詳しく調査ができませんでしたというふざけた回答。

先生いわく、おれは普通の人より腸が長いとの事。
ソーセージを作るにはもってこいってことか。

おれとしては、なぜ毎年のように便潜血が陽性なのかが気になるので、質問をしてみた。

「採便検査はバスタブに血液を1滴垂らした程度でも陽性になるくらい精度が高いので、ドス黒い血便が出るような事がなければ心配無い」

という説明。

「だいたい、40代前半で大腸癌になる可能性なんて低いから気にするな」

とのことである。

「だけど、こないだ40歳で検査に来た人が数週間後に大腸癌で死んじゃったんだよね」

などという身も蓋も無い事も言ってくる。

この先生は大丈夫か?

そして1ヶ月後、いまだにクリニックから結果の電話がこないので、電話をしてみると

「あー、忘れていましたー。良性だったので、暇な時に来院してください。」

と先生。
完全なヤブだろ。

まとめ

まあそんなわけで、良いんだか悪いんだかモヤモヤした結果になったわけですが、ヤブ医者の事を信じるのであれば、潜血など気にしなくても良い感じ。
それでも内視鏡検査をするのであれば、全身麻酔をお勧めします。

おれは二度とやらん。



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